Web制作
なぜ「きれいなサイト」を作っても成果が出ないのか
「デザインはきれいだと思うんですけど、正直、問い合わせも増えなくて……」
Web制作の相談で、よく聞く言葉です。
制作当時は「これでいけるはず」と感じていた。
見た目にも満足していた。
それでも、数ヶ月経って振り返ると、期待していた成果が出ていない。
ただ、ここでひとつはっきりしているのは、
成果が出ない原因は、必ずしも「デザインが悪いから」ではない、ということです。
きれいなサイト=成果が出る、と思ってしまう理由
Web制作の打ち合わせでは、
- デザインの雰囲気
- 配色や写真の印象
- 「今っぽさ」「おしゃれさ」
といった要素が、どうしても中心になりがちです。
これは自然な流れでもあります。
デザインは完成前からイメージしやすく、評価もしやすい要素だからです。
一方で、
- 誰に向けたサイトなのか、
- 何をしてもらうサイトなのか
- 公開後にどう使っていくのか
といった部分は、明確にならないまま制作が進むケースも少なくありません。
その結果、
「きれいだけど、思ったように機能しないサイト」が出来上がってしまいます。
実際に成果が出ないサイトに共通する3つの状態
ここからは、実務の中でよく見かける状態を整理します。
【1】誰に向けたサイトなのかが曖昧
「できるだけ多くの人に見てほしい」
この考え自体は間違いではありません。
ただ、対象が広すぎると、
誰のための言葉なのかがぼやけてしまうことがあります。
結果として、
誰にも強く刺さらないサイトになってしまうケースは少なくありません。
【2】何をしてほしいかが決まっていない
- 問い合わせをしてほしいのか
- 資料を見てほしいのか
- 電話をしてほしいのか
ゴールが曖昧なままだと、見る側も「次に何をすればいいのか」がわかりません。
どれだけ情報が揃っていても、行動につながらないサイトになってしまいます。
【3】作った後の動きが想定されていない
サイトは、作って終わりではありません。
- 誰が更新するのか
- どんな情報を追加していくのか
- 検索で見つけてもらうために何をするのか
こうした前提がないまま公開すると、
どれだけきれいでも、徐々に使われなくなっていきます。
問題は「デザイン」ではなく「設計」にある
ここで誤解してほしくないのは、デザインを否定したいわけではないという点です。
デザインは重要です。
ただし、それは設計の結果として生まれるものです。
Googleも公式ドキュメントの中で、
「ユーザーにとって役立つかどうか」を最重要視する姿勢を明確にしています。
コンテンツは、主に人間のために作られるべきであり、検索エンジンのためではありません。
Google 検索セントラル
これは Google 検索セントラルが公開している
「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」という考え方の中で示されているものです。
この思想は文章だけでなく、Webサイト全体の構造や導線設計にもそのまま当てはまります。
また、ユーザー体験(UX)の分野でも、
見た目以前に「使いやすさ」「理解しやすさ」が重要であることは繰り返し指摘されています。
たとえば、UX分野で世界的に参照されている Nielsen Norman Group では、
UXを「製品やサービスを使うときの体験全体」と定義しており、
デザイン単体ではなく設計や情報の整理が体験を左右するとしています。
成果が出るサイトは、作る前にほぼ決まっている
成果が出るかどうかは、公開後の運用だけで決まるものではありません。
- 何のためのサイトなのか
- どんな役割を持たせるのか
- どんな行動をゴールにするのか
これらが整理された状態で作られたサイトは、派手なデザインでなくても、きちんと機能します。
逆に言えば、
作る前の整理が不十分なままでは、見た目を整えても限界がある
ということでもあります。
実際、Web制作を外注する際も、
「どう作るか」より先に
「何を目的に依頼するのか」を整理しておくことが、結果を大きく左右します。
この点については、次の記事でより具体的に触れる予定です。
「きれいに作る」より「正しく考える」
もう一度言いますが、
デザインが不要だと言いたいわけではありません。
ただ、
「きれいなサイトを作ること」と
「成果が出るサイトを作ること」は、
必ずしも同じではないという事実があります。
これからWeb制作を検討するなら、
まずは「どう作るか」よりも、
「何のために作るか」を整理することが大切です。
その整理ができたとき、
デザインは初めて“意味を持つもの”になります。